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水溶性研削液の豆知識

水溶性研削液は冷却性を主眼において使用され、不水溶性研削液より作業環境の清潔さ、引火の危険性の排除などが優先される場合に適しています。精密切断砥石による湿式加工では、水溶性研削液の良し悪しが砥石や切断機の性能を左右する重要な要素となります。
切断加工中には、砥石と被加工物との接点が非常に高温になります。このため、砥石への熱影響が大きすぎると砥粒や結合剤にダメージを与え、その結果、切れ味や砥石寿命、切断精度などに悪影響をおよぼします。
適切な水溶性研削液を使用することにより、砥石と被加工物の潤滑性をあげ研削抵抗を減らし熱の発生を抑えます。また、発生した熱に対しても研削液の冷却効果により取り除かれ、さらに洗浄効果により切り粉や砥粒屑を洗い流し、防錆効果により被加工物やバイス周辺部を錆や腐食から守ります。水溶性研削液の選び方、使い方次第で加工効率などが大きく変わってきます。

水溶性研削液の種類

水溶性研削液とは、水で薄めて使うタイプの研削液の総称で、大きく分けて次の3つの種類に分類されます。

エマルジョンタイプ JIS規格:A1種

水に溶けない鉱油30%以上の成分と界面活性剤からなり、水を加えて希釈すると外観が乳白色になりますが、水溶液が乱反射して見た目が乳白色であるだけで塗料のように白色に着色されている訳ではありません。研削加工全般に使用され、鉱油が含まれているので水溶性研削液の中で最も潤滑性が高いが、砥石による切断加工用には不向きです。
本来、水と油は混じりませんが、界面活性剤の働きで両者を微粒子状態で混ぜる(乳化させる)ことができます。乳化というこの現象に適した界面活性剤のことを、特に乳化剤といいます。

ソリューブルタイプ JIS規格:A2種

鉱油5~30%の水に溶けない成分と界面活性剤からなり、油分が少ないため水を加えて希釈すると外観が半透明ないし透明になります。エマルジョンとケミカルソリューションの中間的なタイプで、一般的にNC旋盤とマシニングセンタに用いることが多い。エマルジョンに比べると表面張力が低く、洗浄性や冷却性が高い。

ケミカルソリューションタイプ JIS規格:A3種

有機・無機酸塩を主成分とし、油分が添加されていないのでサラッとしていて、水を加えて希釈すると透明になります。優れた消泡性と冷却性を有するため、研削速度が速い研削加工に用いられる場合が多い。水溶性研削液の中で最も洗浄性や冷却性が高い。当社の「ファインクール」は、このケミカルソリューションになります。また、「ファインクール21」はシンセティックタイプで、その分類は鉱物油・油脂類を含まない油剤で合成油剤を基油としており、タイプの定義およびJIS区分もありません。

各タイプの特長
エマルジョンタイプ

1. 原液は油色で粘度があり、水で希釈すると乳白色液になる
2. 鉱油・合成油・油脂類が基油なので、潤滑性が他の水溶性研削液より高い
3. 比較的に被加工物を問わない(アルミ合金や銅合金に対応できない場合がある)
4. 液が腐敗し悪臭を放つことがある
5. 液の管理が難しい(希釈倍率把握・維持 ⇨ 濃度計で)
6. 砥石の切断用には不向きである ⇨ 滑って砥石が被加工物に食いつきにくい
7. 原液に引火点をもつ場合がある(消防法管理対象)
8. 開封後は変質して乳化しない場合がある(約6ヵ月位)
9. 一般的に水での希釈は、水の中に水溶性研削液を投入し撹拌する(この逆はNG)
10. クーラントタンクの研削液表面に浮いた潤滑油を取り除く必要がある ⇨ 腐敗防止

ソリューブルタイプ

1. エマルジョンとケミカルソリューションの両方の性質をもちあわせる
2. エマルジョンとケミカルソリューションの良いところと悪いところがでてしまう
3. いろいろな加工油剤を使用している場合、その油剤を統一する際に採用されることが多い

ケミカルソリューションタイプ (ファインクール・ファインクール21)

1. 油分は添加されていない 2. 透明の液体であるため加工面を目視することができる
3. 浸透性(研削点への研削液のしみこみやすさ)に優れている
4. 冷却性に優れ、研削速度が速い研削加工に向いている
5. 洗浄性に優れ、切り屑や砥粒屑を洗い流す効果がある
6. 原液に引火点をもたないので消防法に抵触しない
7. 弱アルカリ性のために機械塗装面を剥離させてしまうことがある
8. 一般的には研削盤(平面・円筒・ロータリー)に実績が多い

砥石による切断加工で使用しないでいただきたい研削液とは・・・

1. 不水溶性研削液

一般的には引火点(150°~190°)があり、切断加工時の摩擦熱などにより研削油の発煙がおこり、健康被害や燃焼につながり火災の恐れがある。また、冷却性に乏しく砥石の被加工物に対する喰いつきも悪く、良い効果がまったく得られない。

2. エマルジョンタイプの水溶性研削液

エマルジョンタイプの水溶性研削液には、潤滑性を向上させるための鉱油や添加剤が入っています。その潤滑性により砥石が被加工物に喰いつくことを妨げ、仮に切断できたとしても良好な切断面が得られず、切断面の曲がりが発生することがあります。

砥石による切断加工における水溶性研削液『ファインクール』の役割・・・

1. 冷却効果により加工精度向上と焼けの防止

砥石の切断加工は研削速度が極めて速いため、その摩擦熱や金属のせん断熱によりかなりの発熱が発生します。 その被加工物と砥石接点の発生熱を吸収し、砥粒や結合剤への熱ダメージを軽減するとともに、被加工物の熱膨張による寸法精度のバラツキを防ぎ、仕上げ面精度を維持するとともに、熱による被加工物の焼けを防止します。

2. 被加工物の防錆や腐食抑制および機械本体内部の防錆

切断面には防食被膜がなく、研削液のアルカリ成分により錆や腐食を抑えます。

3. 浸透性や洗浄性により仕上げ面粗さ、砥石寿命を改善

・目つぶれ:砥粒が磨耗しても脱落が起こらず、砥石刃面が平滑になり、被加工物が切れなくなる
・目詰まり:切り粉や砥粒屑が砥石の気孔に詰まり、被加工物が切れなくなる
・目こぼれ:砥粒が磨耗する前に脱落がおこり、被加工物が切れなくなる
目詰まりが起きにくく、適切なところで砥粒の脱落がおきて新しい砥粒が顔をだすのが、砥石の好ましい状態です。研削液は、脱落や破砕した砥粒屑および切り粉を速やかに洗い流し、仕上げ面粗さを改善するとともに砥石寿命を延ばします。

4. 研削液の腐敗抑制

水溶性研削液の腐敗は、微生物が繁殖しpHや防錆力の低下がおこり、腐敗臭へと進行していきます。その進行を腐敗抑制添加剤の成分が抑えます。

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めんどうでも水溶性研削液の管理が重要・・・

水溶性研削液は、すべてアルカリ性です。水溶性研削液には防錆成分が入っていますが、徐々に消費され適度な防錆効果が得られなくなることがあります。
その原因は、防錆油などの混入による油水分離、希釈液中の塩素イオンの影響、蓄積した切り粉からの金属イオンの増加など、さまざまなことが考えられます。
その対策として、次のことが有効です。

1. 混入油対策(機械使用後の防錆油剤の不使用)

機械使用後のバイス周辺部の拭き上げや、機械内部の塗装が剥げている部分などの防錆対策は手間と時間がかかるいやな作業です。また、拭き上げ後に防錆油スプレーなどを塗布すると、日常的に使用している防錆油がクーラントタンクに流れ込んでいきます。そして、しだいに研削液面に油膜のフタをするような状態になり、混入浮上油が研削液中の酸素を遮断します。研削液中のバクテリア(微生物)にとって酸素を遮断された研削液の環境は最悪となり、酸欠状態で死滅し腐敗臭を引きおこす原因になります。

それを防ぐため弊社では、アルコール防錆剤『ファインフリー』をご用意しています。

『ファインフリー』は、次の特長があります。
1. オイルフリーで、水溶性研削液『ファインクール』に対する影響(腐敗促進)がほとんどない(水溶性研削液の交換頻度の低減、クーラントタンク内の油汚れ防止、エコ効果)
2. 防錆剤散布後のベトつきや摺動部などの固着がおきにくい
3. 基材はアルコールで水溶性研削液『ファインクール』と相溶効果があり、機械使用後のバイス周辺部の研削液をウエス等で拭き取る必要がなく使用でき、研削液と混ざり隙間などへの浸透性もあるため防錆油よりも優れた防錆効果を発揮する(ウエス等不要のエコ効果)
4. 除菌用アルコール製剤と防錆剤(食品添加物承認原料)でつくられており、人体や環境にやさしい
5. 使用するにしたがい水溶性研削液『ファインクール』に流れ込み、研削液自体の防錆効果を高めていく(シナジー効果)
6. 切断後の被加工物の脱脂アルコール洗浄剤としても威力を発揮する
7. アルコール濃度75度 消防法 第4類 引火性液体 アルコール類

アルコール防錆剤『ファインフリー』をご使用いただくことにより、研削液面にオイルを浮遊させずに性能を維持しながら、研削液の寿命を延ばすことができます。 また、混入油の飛散や、クーラントタンク壁面のオイルと切り粉の癒着などによる作業環境の悪化も防ぐことができます。
→ ファインフリーはこちら
2. 水溶性研削液の適切な濃度維持・管理の徹底や原液の補充

濃度計で水溶性研削液の濃度管理を行います。
機械を常時使用している場合には、1週間に1回程度行い設定した濃度に調整することが必要です。
計測してファインクールの濃度に合わせて、原液もしくは普通水を継ぎ足し濃度を調整します。
濃度管理をすることにより、被加工物・機械への不具合や錆の発生、研削液の腐敗、砥石の変形防止・寿命などを安定させることができます。
ファインクールは約40倍、ファインクール21は約30倍の普通水で薄めてご使用いただく濃度です。

※水溶性研削液『ファインクール』の濃度を計測するには、アタゴ社製の手持屈折計(低濃度測定用)N-8A型がおすすめです。

3. 防錆添加剤、腐敗抑制添加剤の定期的添加

普通水にて約40倍に希釈した水溶性研削液『ファインクール』に対し、0.1~0.5%の添加剤を加えることにより、水溶性研削液の安定性や物理的性質を改善する機能を有する添加剤シリーズをご用意しています。
各切断被加工物の錆や腐食をはじめ、水溶性研削液の泡立ちや腐敗などを抑制します。
ご希望の際は、お仕事の内容や切断環境などにより、推奨する添加剤の種類が異なりますので、別途ご相談ください。

4. 切り粉・砥粒屑の徹底除去

高速精密切断機『ファインカット』専用のペーパーフィルタをご用意しています。
機械型式に適合したサイズのペーパーフィルタを、フィルタボックス内にセットしてご使用ください。

5. クーラントタンク内の清掃と水溶性研削液の交換

研削液の劣化が激しい場合は、クーラントタンク内を清掃し新しい研削液に更新してください。



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